遠赤外線式家庭用焙煎器
『私が考えた撹拌機』 |
豆の攪拌を手動でなく電動で行うと大層楽になります。電動で回す撹拌機についても工夫をこらしました。以下、少し説明します。
特徴は3つあります。
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回転軸に対して羽が2枚、ヒンジで接続されています。 |
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羽の構造
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モーターの回転軸と攪拌羽の回転軸の結合方法
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最初にヒンジを使っての利点から説明します。
下の図はヒンジの位置を示しています。
モーターの回転力を伝える回転軸に対し直角に底板が有りますが、その板の相対する2辺にヒンジを介して羽が接続されています。
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下の図はヒンジの構造を示しています。下方に赤線を付けた”a”と”b”、それと細い棒でヒンジが構成されています。
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(図をタップすると拡大されます。)) |
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ヒンジを介して底板に接続された羽は細い棒を中心に回転し、掬い板は水平になったり、垂直になったりと回転が出来るのがポイントです。
回転軸の上を持って攪拌機を持ち上げ、羽から手を離すと、ヒンジ結合なので、羽は自重で下方に垂れ下がります。焙烙の口は狭くなっているので、羽を水平に広げたままではここを通れません。羽が垂れ下がった状態なら難無く狭い口を通り、羽を焙烙内に下ろせます。羽の先端が底に届くと、羽の先端はスキー板の様に湾曲しているので2枚の羽は夫々逆方向に滑って広がり、やがて羽全体が底に平行して1直線状になります。この状態になってから豆を容器内に投入すれば豆は羽と容器の壁の間には入りません。
焙煎が終了したら、一刻も早く豆を冷却する必要が有ります。まごまごしていると残熱で豆の焙煎が進行してしまうからです。
焙煎を終了した後、攪拌軸を持ち上げると、降ろした時と同じように垂直方向に羽は折り畳まれるので、羽の上に乗っていた豆は全て零れ落ちます。
この様にして撹拌機を引き上げるだけで、豆が容器の外にこぼれ落ちる事無く、撹拌機のみを取り外せます。
焙煎の匠と言われる人々は「焙煎終了時間が1秒でも違うと理想の焙煎にはならない。」と言っています。焙煎後直ぐに豆を冷却器に移せるかどうかは重要な事です。
また、ヒンジ部”a”は半開になっているので取り外し可能です。このため使用しない時は羽を回転軸から取り外せば場所を取らずにすみます。
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羽の形状にも工夫が有ります。 |
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竹へラで混ぜる時の豆の動きを良く見ると、豆を単に横にズラしているだけです。竹へラを回転すれば豆は単に円を描く様に移動するだけです。上部にある豆と容器底近くにある豆との間での移動は殆どありません。円周部と中心部との豆の置き換えも故意に回転させない限り、少なそうです。
電動化してモーターで羽を回しても羽が単なる板状であると、竹ヘラと同じで、しかも中心部の豆が遠心力で壁面近くに貯まる傾向が有ります。
この欠点を無くそうとしたのが今回の羽の形状です。
どの様な形状なのか、粘土で羽を作ってみました。次の写真をご覧ください。
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上の写真で、左側の衝立(図137)は縦方向、奥行き方向とも容器の側面に沿う様に湾曲させます。このため、容器の壁面近くにある豆は衝立板と容器壁面の隙間に入る事なく、全て掬い板で掻き集められます。
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上の写真に示した様に、135の掬い板と136の衝立板は左端では直角になっていますが、右へ行く程その角度は大きくなり、右端では衝立板は後ろへ倒れ込む形で160度となります。ここがポイントです。 |
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上の写真は衝立板を背面から見たところです。衝立板が倒れ込んだ分、衝立板の高さは回転軸に近い程低くなっています。衝立板の高さが低い程、豆は衝立を乗り越えて向こうに転げ落ち易くなります。上に有った豆が下に落ちます。
豆を入れた状態で攪拌羽を回してみましょう。下の図では黄色の球を豆に見立て、豆にどのような力が働いているかを示しています。
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(図をクリックすると拡大されます) |
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掬い板に掬われた豆は後から掬われた豆に押しやられながら、やがて衝立板に当たります。豆が衝立板に当たると衝立板からの反発力で衝立板面と直角方向の(a)の力がかかります。豆の位置がどこであろうとも(a)はどれも同じ大きさの力です。
でも衝立板は湾曲しているので豆の位置により、(a)の方向は異なります。(a)の力を分解すると(b)と(c)になりますが、(c)は後から来る豆により押し戻され、結局豆は(b)方向の力だけが残ります。(b)の力は豆を衝立板の湾曲面を滑る様にして中心方向に動かす力になります。しかも豆の位置に因り、(b)の力は異なり、(b1)>(b2)>(b3)となります。
つまり壁面近くの豆程、中心方向への力が大きく働きます。これらの力により、豆は中心方向に移動しますが、衝立板の高さは中心部方向へ行く程低くなっていて豆は後ろに転げ落ち易くなっています。
反対に(b)の力は中心部へ行く程弱くなります。これらの要素の為、豆は壁近くやあるいは中心部近くに貯まる可能性が少なく、一様に豆が分散する事になります。
以上では水平方向の力のみを見ていましたが、この動きに加えて、衝立板を乗り越えた豆は上から下への位置変動が生じます。
提案した攪拌羽には竹ヘラや板状の回転羽には無かった運動が豆に働き、効率攪拌が可能となります。
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駆動箱内のモーターから下りている回転軸と攪拌羽根の回転軸は右図の様にオスとメスの関係なになっています。
このため,箱を上下させオス軸がメス穴に入りさえすれば、ネジで締め付けること無く、連結は完了し、攪拌羽根の高さ調整も不要で、モーターの回転力は羽根に確実に伝えられます。
この構造により、焙煎終了時に素早く駆動箱や攪拌機を取り外せ、豆を取り出して冷却する事が可能となりました。
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焙煎完了後如何に素早く豆を冷却できるかは重要なポイントです。
要約すると、掬い板と衝立板で掬い上げた豆を中心方向へ移動させ、衝立板を転げ落ちる際に上から下への動きが加わるので、竹ヘラや、板状の羽で攪拌する従来の方法に無かった動きが豆に与えられ、攪拌効率が大きく向上すると言えます。
モーターの回転軸と攪拌器の回転軸の結合方法は迅速な豆の処理に重要な点です。
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(壁面に取り付けた突起と撹拌羽の構造に対して特許がとれました。特許第6912799)
以上に述べた通り、従来の焙烙に突起を付け、特許の攪拌器を装着することで、焦げを抑え、ドラム式に比べ、スッキリとした、香り高い、コクのある珈琲を楽しめます。
ですが、珈琲ラバーはもっと先を見据えます。どの豆も同じ様に焙煎するのではなく、生豆毎にその豆の特徴に会った加熱時間と温度(焙煎プロファイル)を見つけると、更に素晴らしい味と風味を楽しめるはずです。
これ以降、豆毎に最適焙煎プロファイルを探求する挑戦に挑んで頂きます。その目的に最適であり、同時に同じ挑戦者同士を繋げ、挑戦を通して珈琲生活を楽しめるシステムのご紹介いたします。こだわりを持つ人には是非お勧めしたい焙煎器です。
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